セールスレター作成プロセス・マニュアル
GMSマスターフレームワーク – セールスレターの作成プロセス
【概要】
本マニュアルでは、効果的なセールスレターを作成するための体系的なプロセスを5つのステップで説明します。各ステップには確認ポイントと実践的なガイドラインが含まれており、コピーライティングの初心者から熟練者まで活用できる内容になっています。
【作成ワークフロー全体図】
STEP 1: リサーチ (全体の40%の時間を配分)
├─ 商品(オファー)のリサーチ
├─ 見込み客(顧客)のリサーチ
└─ 市場・競合のリサーチ
└─ レビュー
STEP 2: アイディア企画
├─ 商品ポジショニング
├─ 意識レベルによるリード選定
├─ ビッグアイディア開発
├─ 反論処理戦略
├─ オファー・緊急性設計
└─ ヘッドライン作成
└─ レビュー
STEP 3: ストーリーボード
├─ 論理的構成(ロジカルチェーン)
└─ セクション別計画
└─ レビュー
STEP 4: ライティング
├─ レイアウト
└─ コピーの執筆
└─ レビュー
STEP 5: 編集
├─ 第三者チェック
├─ 文章削減と改善
└─ 最終確認
└─ 仕上げ・納品
【STEP 1: リサーチ】
セールスコピーを書く前に、全体の約40%の時間をリサーチに配分してください。十分なリサーチは、書く時間の短縮と質の向上につながります。
1. 商品(オファー)のリサーチ
基本情報の収集:
- 商品の基本的なスペック、提供方法(セミナー、オーディオ、など)
- パッケージ内容、提供タイミング、価格体系
特徴とベネフィットのリスト作成:
- 特徴(Feature):商品の物理的または技術的な属性
- ベネフィット(Benefit):顧客が得る結果や変化
- 重要質問:「これを知ったら/使ったらどう変化する?」「これは何を意味するのか?」
ビッグプロミスの特定:
- この商品の究極的な約束は何か?
- 顧客が最終的に求めている変化・結果は何か?
USP(独自の販売提案)の開発:
- 独自のメソッド・プロセス・システムの特定
- 競合と差別化できる要素は何か?
- 例:「10倍集客する」→「フェイスブックで10倍集客する」→「フェイスブックのQ理論で10倍集客する」
意外な事実・未知情報のリスト化:
- 「へぇ~」と思わせる意外な事実
- 自分が知らなかった情報
- 数値化できる具体的データ
証拠要素の探索:
- タレント/スピーカーの権威性の証拠(メディア露出、書籍、セミナー実績)
- 実績データ(開催数、年数、販売数、有名クライアント)
- 第三者の声(顧客の声、有名人の推薦、企業の推薦)
- 商品効能の証拠(ビフォー/アフター、実験結果、データ、資格)
- 論理的根拠(なぜそうなるのか?の理由説明)
2. 見込み客(顧客)のリサーチ
ペルソナ構築:
- 実際の顧客との対話からデータ収集
- 同ジャンルの本のAmazonレビュー分析
- Q&Aサイトでの関連質問調査
BDF分析:
- Belief(ビリーフ):思い込み、常識だと思っていること
- Desire(デザイア):欲求、願望、夢、解決したい問題、恐怖、避けたいこと
- Feeling(フィーリング):商品ジャンル/業界に対する感情、期待と失望
問題意識レベルの特定:
意識レベルを1〜5で評価(1=全く意識していない、5=完全に意識している)
- 問題・欲求の認識
- ソリューションの認識
- 商品の認識
意識レベルが低いほど「見込み客志向」のアプローチが必要で、高いほど「商品志向」のアプローチが有効。
3. 市場・競合のリサーチ
競合ソリューションの調査:
- 「他のソリューションは何か?」
- 「その問題の主流のソリューションは何か?」
- 顧客が何と比較するかを把握
競合情報の収集:
- オファー内容(価格、特典、保証、サービス)
- 訴求ポイント(どの欲求/感情をターゲットにしているか)
- 市場/業界のニュース・トレンド
外部証拠資料の収集:
- 新聞記事、雑誌記事(業界誌、業界新聞)
- 調査結果(リサーチ会社、大学/研究機関、自社調査)
- 書籍タイトル・雑誌表紙(市場の関心を示す指標として)
【STEP 2: アイディア企画】
このステップでは、セールスレター全体の方向性と核となるアイディアを開発します。
商品ポジショニング
商品カテゴリーの決定は、顧客の頭の中での位置づけを定めるものです。以下の質問に答えてポジショニングを検討します:
- この商品が何をしてくれるか?
- 競合が提供していないベネフィットは何か?
- 誰が本当のターゲットか?
- なぜこの商品は特別なのか?
- 何の隣にあるか?何と比べられるか?
- 何の逆か?
- コアなベネフィットは何か?
ポジショニング例:
- 「渡邊健太郎のネット通販ニュースレター」→「渡邊健太郎のネット通販実践会WEBコーチング」
- 「洋書の解説」→「神田昌典の秘密の情報源」
- 「メルマガライティング・ワークショップ」→「リストブランディング・ワークショップ」
意識レベルによるリード選定
見込み客の意識レベル(1〜5)に応じて、適切なリードアプローチを選択します:
間接的 <<1 2 3 4 5>> 直接的
- 低意識レベル(1-2): ストーリー、予言、秘密、ミステリーなどの間接的アプローチ
- 中意識レベル(3): 問題解決型アプローチ
- 高意識レベル(4-5): 直接的な約束(プロミス)、オファー提示
直接アプローチと間接アプローチの使い分け:
直接アプローチに適する状況 | 間接アプローチに適する状況 |
---|---|
購買判断が簡単にできるもの | 問題意識の薄い商品 |
簡単に理解できる商品(書籍など) | 説明のいる商品、未知の商品 |
すでに信頼されている場合 | 信頼がない時、初対面 |
– | 新しいアングル/ニュースがある時 |
一般的に、間接法の方がより大きなマーケットにアプローチできます。
ビッグアイディア
効果的なビッグアイディアの要素:
- 意外性(Surprise): 聞いたことのない話、独自・オリジナル、常識と異なる
- ベネフィット暗示: 明確な利益を示唆している
- 大胆さ(Bold): インパクトがあり、驚きを与える
SUCCESフォーミュラ:
- Simple (シンプル): 理解しやすい
- Unexpected (予想外): 期待を裏切る
- Concrete (具体的): 抽象的でなく具体的
- Credible (信頼できる): 裏付けがある
- Emotional (感情的): 気持ちを動かす
- Story (ストーリー): 物語性がある
ビッグアイディアを探すためのヒント:
- ビリーフ(常識)に反することは何か?
- 何の逆か?
- 敵は誰か?何が顧客の目的を妨げているか?
反論処理
見込み客が商品を買わない理由(反論)を先回りして対処します。
一般的な反論と処理方法:
- 「高い」→ 何と比べて?価値の説明
- 「時間がない」→ どれだけ時間がかからないか?
- 「自分には使えない」→ どれだけ簡単にできるか?
Objection-Resolution法:
自分から欠点を持ち出して、それをカバーする方法を説明する手法。
例:
「英語だから分かりにくいと思うかもしれません。なので全てのテキストは〜してますので小学生でも読めるレベルです」
オファー・緊急性設計
反応を取るための優先順位は:
- 広告媒体(リスト)
- オファー
- コピー(クリエイティブ)
オファーチェックリスト:
- 明確であるか?
- 読者はオファーの価値を認識できるか?
- 他との違いが明確か?
- 「ここだけ」「今だけ」か?
- 保証は強く、明確か?
- 特典は魅力的か?
- レスポンスは簡単にできるか?
- 動かない方が楽という状態を変えられるか?
緊急性の要素アイディア:
- 期間限定の割引
- 人数の限定(理由が重要)
- 期間限定・個数限定の特典
- ウェブセミナー・コーチングなどのライブコンテンツを特典で加える
- テーマそのものが緊急性を持つ
- 無料コンテンツを期間限定に
- 優良顧客向け先行販売
ヘッドライン作成
効果的なヘッドラインの要素:
- サプライズ要素(意外性)
- 明確なベネフィット
- 信頼性(実現可能に感じる)
【STEP 3: ストーリーボード】
セールスレターの全体構成を計画するステップです。
論理的構成(ロジカルチェーン)
- 主張→証拠→次の主張→証拠…という論理的な流れを作る
- 各セクションが前のセクションから自然に流れる因果関係を維持
- 原則: 「構成はロジカルに、表現はエモーショナルに」
セクション別計画
標準的なセールスレター構成:
- ヘッドライン
- リード(導入)
- 問題提起/状況説明
- ソリューション紹介
- ベネフィットと特長
- 証拠/社会的証明
- オファー詳細
- 保証
- 限定要素/緊急性
- 行動喚起
- PS(追伸)
【STEP 4: ライティング】
実際にセールスレターを執筆するステップです。
レイアウト
- 短い段落(1〜3行)
- 読みやすいフォントとサイズ
- 強調部分(太字、下線、色変更)の適切な配置
- 箇条書きやナンバリングの効果的活用
- 余白の確保と視覚的な呼吸
コピーライティングの基本原則
具体性:
- 抽象的な表現を避け、具体的な数字や事例を使用
- 5W1H(誰が、何を、いつ、どこで、なぜ、どのように)を明確に
「あなた論」の活用:
- 「あなた」中心の文章
- 読者が主役になる表現
ピクチャー(情景描写):
- 読者が成功した姿を具体的に描写
- 五感に訴える表現
コントラスト(対比):
- 問題と解決策
- ビフォーとアフター
- 行動する場合としない場合
テスティモニアル(証言)の効果的配置:
- 具体的な結果を含んだ体験談
- 写真や名前で信頼性を高める
【STEP 5: 編集】
最終的な磨き上げを行うステップです。
編集の基本方針
- 自分以外の人に見てもらう
- とにかく削る(冗長な表現、繰り返し、不要な修飾語)
- リードの精査(最初の段落が最も重要)
- 言葉選びの改善
- サブヘッドの確認(全体の流れを明確に)
- 論理的一貫性のチェック
- 「小学5年生でも読める」かどうかの確認
最終確認ポイント
- 売りたい商品・サービスが明確か
- ターゲットとのマッチングは適切か
- 期待値と現実のギャップがないか
- コールトゥアクションは明確か
- 専門用語や業界用語が多すぎないか
- 読み手が躓く箇所はないか
補足資料:セールスレターの細部設計
ヘッドライン設計の詳細フレームワーク
ヘッドラインには、以下の要素を可能な限り組み込むことを検討します:
- ターゲットの絞り込み:「〜に悩む30代ビジネスマンへ」のように対象を明確化
- 大きな約束:「3週間で10キロ減量」のようなビッグプロミス
- 信頼性要素:「科学的に証明された」「特許取得済み」などの裏付け
- リスク除去:「初心者でも」「努力不要で」のような障壁の除去
- 時間フレーム:「30日で」「たった5分で」など明確な期間の提示
- オファー示唆:「無料レポート」「限定招待」などのオファー要素
リード(導入部)の7つの定番パターン
- ストーリーリード:関連性の高い物語で始める
- 問題提起リード:読者が抱える問題を直接指摘する
- ニュースリード:最新情報や時事的要素を絡める
- 質問リード:読者に考えさせる質問を投げかける
- 統計/事実リード:驚くべき統計や事実で開始する
- 引用リード:有名人や権威者の引用から始める
- 想像リード:「〜を想像してみてください」と読者の想像力を刺激する
ベネフィット表現の3ステップ公式
- 特徴の特定:商品やサービスの特性を列挙
- 「〜することで」変換:各特徴を「〜することで/〜によって」と続ける
- 顧客価値の明示:最終的な価値や変化を具体的に示す
例:「高性能フィルター搭載(特徴)」→「高性能フィルターにより99%の微粒子を除去することで(変換)」→「アレルギー症状を劇的に軽減し、快適な睡眠が得られます(価値)」
証拠要素の階層
証拠には以下の階層があり、上に行くほど説得力が高まります:
- あなたの主張:最も基本的な証拠(弱い)
- 論理と理屈:なぜそうなるかの説明
- 第三者の証言:顧客の声、体験談
- データと統計:具体的な数字や調査結果
- 独立機関の検証:大学や研究機関による裏付け
- 直接体験の提供:無料サンプル、試用期間(最強)
オファー設計の5要素
効果的なオファーには以下の5つの要素を検討します:
- 適切な価格設定:価値と価格のバランス、比較対象の設定
- リスク逆転:返金保証、お試し期間など顧客リスクの軽減
- 特典バンドル:本体価値を高める関連特典の追加
- 限定要素:数量、期間、特典の限定性
- 支払い条件の最適化:分割払い、延払いなど心理的障壁の低減
本マニュアルは、セールスレター作成の基本的なフローと実践的なガイドラインを提供するものです。各ステップを丁寧に実行し、最終的な成果物の品質向上にご活用ください。
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